目 次

再刊あいさつ

関西支部長 瀬戸宏


 国際演劇評論家協会(AICT)日本センター関西支部機関誌『ACT』(『あくと』)は2004年5月に創刊された。今から15年前のことである。その後、紆余曲折はあったが歴代編集長の努力で24号まで発行された。厳しい状況が続く関西演劇界と同様に、『ACT』も諸般の事情でここ数年発行が途絶えることを余儀なくされたが、今回上念省三会員を編集長として25号が刊行されようとしている。
 創刊号の編集後記に、私は初代編集長として、次のように書いた。
「AICT関西支部の性格から、雑誌としては特定の芸術主張はとれない。あえて言えば、「現場」に強い関心を持ちつつそれから独立した「自立した演劇批評の追求」であろう。その対象は、舞台芸術であればジャンルは問わない。東京などの劇団の関西公演も取り上げる。さらに、関西在住の批評家の東京演劇評、海外演劇事情紹介も掲載する。『act』が関西演劇界活性化の一つの刺激剤となることを願っている。」
 その後の『ACT』も、ほぼこの道を歩んだといってよい。雑誌は10号続けば必ずそこから書き手が生まれると言われるが、『ACT』も数は少ないながら今も活躍する演劇評論の書き手を生み出すことができた。持続は重要であり、演劇の活性化に演劇評論が必要なことも、論を待たない。新生『ACT』が、現在の演劇評論の書き手により多くの評論執筆の場を提供すると同時に、『ACT』をゆりかごにより新しい演劇評論家が育つことを願っている。                    (2019年7月)

 

【評論・時評】 Critique

岡田 祥子

飛ぶ魂――大竹野正典 没後10年記念公演『山の声』を観て

上念 省三

誰かが今ここで語ってくれているということ

――ヤネック・ツルコフスキ『マルガレーテ』、akakilike『はじめまして、こんにちは、今私は誰ですか?』、Ping Chong『生きづらさを抱える人たちの物語』

 

坂本秀夫

近年の京都――小劇場環境の動き

■ 

【公演評】Drama Review

 

瀬戸 宏

北京で観たSCOT『リア王』

藤城孝輔

ねばつく街と、海の誘惑――第一回田畑実戯曲賞受賞作品『ひたむきな星屑』

瀧尻浩士

恋愛の河底に眠る政治性――『スカイライト』評

番場 寛

衣装としての裸体と物語的時間の構築――「第2回京都国際舞踏祭」4日目を観て

山﨑 達哉

能勢人形浄瑠璃鹿角座の挑戦――能勢人形浄瑠璃 淨るり月間

​2019年8月5日公開

発行人:瀬戸宏

編集人:上念省三 岡田蕗子

​【紙版Actについて】

 このウェブ版Actと並行して、各稿の一部分を掲載した紙版Actを刊行しています。

​ 関西の主な劇場に配架いただいていますので、お手にとってご覧ください。

​ 以下の画像からもダウンロードできます。PDFファイルで、A4 2枚です。

act25paper.jpg

​【後 記

■岡田蕗子

 おかげさまで、この度劇評誌ACT第25号を無事刊行することができました。関わってくださった皆様に感謝申し上げます。

 前号は2013年、今から6年前です。その間に様々な出来事がありました。批評に関してはここ近年、web上の執筆の場が増えつつあるように思われます。老舗の「シアターアーツ」や「artscape」の舞台評欄のように、所謂批評家が発信するもの以外にも、観客側から気軽に批評の場にアクセスできる「観客発信メディアWL」(2015~)も定着しておりますし、應典院の「モニターレビュー」(2017~)のように、劇場側が批評をアーカイブしようとする動きも魅力的です。2019年1月に京都芸術センターで開催された「ダンス批評を書くために話す」のように、批評の結果である批評文だけでなく、批評執筆の過程やその後を重視する動きもありました。「ダンス批評を〜」は、「シティⅠ・Ⅱ・Ⅲ」の評者たちが意見を直接交わす様子を第三者が見ることができる興味深い場であったこと以外に、公募で選んだ評者に「執筆料を支払う」点でも印象に残っております。執筆料を払う姿勢は、5月に人間座スタジオで上演された「ひたむきな星屑」の劇評公募にも見られましたが、劇評執筆への対価をどう意識するかという点は考えていきたいこところです。

 これらの企画を追っていると、同じ名前を見かけることがあります。本号寄稿者の岡田祥子は應典院のレビュワーで、「ダンス批評を〜」の評者です。同じく番場寛も「ダンス批評を〜」の評者で、「ひたむき〜」の劇評企画の参加者でしたし、その企画に関しては藤城孝輔も参加者でした。多様な主体がそれぞれの媒体で様々に批評の大地を耕し、その中で多彩な言葉が育っているのだとしたら、とても素敵なことだなと感じております。いずれ、色や音や物といった言語以外の言葉も育つと良いなあなどと夢想いたしております。

 再始動をしたACTでは、どのような場を創りましょうか。評者同士の交流の場、評者と創作者の出会いの場、専門的知識の飛び交う激烈な批評の場。可能性は多々ございますが、みなさまと意見を交わしながら創って行けたら良いなあと思っております。

 今後とも、宜しくお願い申し上げます。

■上念省三

 本当に申し訳ないと思っているのは、結局のところ集まった原稿を集めただけのことになってしまったことで、しかも集めてくださったのは岡田さんですので、「作業」しかしない編集人でありました。

 この場を「場」として育てるのは会員諸氏のお仕事だと思っていますので、まずは次号への寄稿から、どうぞよろしくお願いいたします。

 

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